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2021.05.09

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母の日なので酒母(しゅぼ)の話

今日は母の日なので酒造りの母のお話。

酒造りは、お米のデンプンを麹が糖に変え、
糖を酵母がアルコールに変えます。
酵母は糖をアルコールに変えるだけでなく、お酒の香りや、
味わいの中でも重要な酸味なども作りだしてくれます。

酵母を仕込み前に培養したものが"酒母(しゅぼ)”です。
この酒母は"酛(もと)"とも呼ばれ、仕込み前に
小さなタンクで、酵母、蒸米、水を混ぜて作ります。



「酒の母」と書きますが、手のかかる子どもみたいで、
ちょっと目を離すと酵母よりも強い雑菌が繁殖してしまいます。
他の雑菌が繁殖しないよう山廃仕込では乳酸菌を使ったり、
他の仕込では直接乳酸を加えて酵母菌だけを増やしていきます。

酵母菌の増殖には温度管理も重要になります。
酒造りをする冬場は当然気温が低いので、
酒母を入れたタンクに「あんか」を抱かせて温めたり、
一日に何度も温度を測って様子を見ます。

大事にだいじに育てる様子は、酒母担当のベテラン蔵人曰く
「言うこと聞かないから子どもみたいさぁ」
「酛(酒母)を同時にいくつも作っているときなんか
 片方にばかりかまけていると、
 もう片方が機嫌曲げて育ってくれなくなったりするんさぁ。
 不思議だけど、ほんに子どもとおんなじだて」



そうして、できあがった酒母は大きな仕込タンクの中で、
お米をどんどんお酒にしてくれます。
まさしく「酒の母」に育っています。

全てのお母さんと同じく、酒母もモトは子どもでお母さんに
育てられて、酒の母になっていました。
酒蔵の母の日は酒母と、酒母を育てる"お母さん"に感謝です。